2022年5月23日

万葉集の謎あれこれ/中西進

たぶんウグイス

針槐にウグイス 05.22/小満 上州緑野山

仮名序に "正三位おほきみつのくらゐ 柿本人麻呂かきのもとのひとまろは歌の聖人ひじり" と… 歌数は80首ほどで家持は473首です。13分頃から人麻呂の持統朝デビューが聴けます

巻十九 堅香子草かたかごぐさの花をぢ折る歌

4143 もののふの八十をとめらが汲みまがふ 寺井てらゐのうへの堅香子の花

物部乃もののふの 八十嬬等之やそをとめらが 挹乱くみまがふ 寺井之於乃てらゐのうへの 堅香子之花かたかごのはな

天平勝宝二年三月二日 大伴家持 高岡

 

巻十九 天平勝寶二年三月一日のゆふべに春の
その桃李たうりの花を眺矚ながめて作る歌

4139 春の苑紅にほふ 桃の花下照る道に 出で立つをとめ

春苑はるのその 紅尓保布くれなゐにほふ 桃花もものはな 下照道尓したでるみちに 出立いでたつをとめ

天平勝宝二年三月一日 大伴家持 高岡

 

巻十八 独りとばりうちに居て遥かに霍公鳥ほととぎす
鳴くを聞きて作る歌

4090 行方なくあり渡るとも 霍公鳥 鳴きし渡らばかくやしのはむ

由久敝奈久ゆくへなく 安里和多流登毛ありわたるとも 保等登藝須ほととぎす 奈枳之和多良婆なきしわたらば 可久夜思努波牟かくやしのはむ

天平感宝元年五月十日 大伴家持 高岡

 

巻三 柿本人麻呂従近江國上来時
至宇治河邊作歌

264 もののふの八十宇治川の網代木に いさよふ波の行く方知らずも

物乃部能もののふの 八十氏河乃やそうぢかはの 阿白木尓あじろきに 不知代經浪乃いさよふなみの 去邊白不母ゆくへしらずも

雑歌 柿本人麻呂 羈旅 宇治

 

巻十八 獨居幄裏遥聞霍公鳥喧作歌

4091 卯の花のともにし鳴けば 霍公鳥 いやめづらしも名告り鳴くなへ

宇能花能うのはなの 登聞尓之奈氣婆ともにしなけば 保等登藝須ほととぎす 伊夜米豆良之毛いやめづらしも 名能里奈久奈倍なのりなくなへ

天平感宝元年五月十日 大伴家持 高岡

 

巻一 藤原宮の御井みゐの歌

52 やすみしし わご大王おほきみ 高照らす 日の皇子 荒栲あらたへの 藤井が原に 大御門おほみかど 始めたまひて 埴安はにやすつつみの上に あり立たし し給へば 大和やまと青香具山あをかぐやまは 日のたての 大御門に 春山はるやましみさび立てり 畝傍うねびの この瑞山みづやまは 日のよこの 大御門に 瑞山と 山さびいます 耳成みみなし青菅山あをすがやま背面そともの 大御門に よろしなへ 神さび立てり 名くはし 吉野の山は 影面かげともの 大御門ゆ 雲居にぞ 遠くありける 高知るや あめ御蔭みかげ あめ知るや 日の御蔭の 水こそは とこしへにあらめ 御井みゐ清水ましみづ

雑歌 作者未詳 藤原 宮廷讃美

 

巻一 藤原宮御井歌

53 藤原の大宮仕へあれつぐや をとめがともは 羨しきろかも

藤原之ふぢはらの 大宮都加倍おほみやつかへ 安礼衝哉あれつくや 處女之友者をとめがともは 乏吉呂賀聞ともしきろかも

雑歌 作者未詳 藤原 宮廷讃美

 

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