2020年3月21日

染井吉野に江戸彼岸/浄法寺

江戸彼岸 春分/03.21 上州藤岡浄法寺 染井吉野 春分/03.21 上州藤岡浄法寺

桜をサクラと訓ますは非である『植物記』牧野富太郎

 昔から世間一般に桜をサクラとして用いている事は誰でもよく知っているが、実言うと桜は我邦のサクラでは無いのである。そして我邦のサクラは全く日本の特産と言ってもよい位だから、もとより漢名というものを持合せていない。しかし支那の湖北省にヤマザクラがあると報ぜられているから向うでは何んとかいう漢名があるかも知れぬが、それは今不明である。

 しかれば桜は何んであるかと言うと支那の桜桃の事である。これは桜の一字が一番元とでそれへ桃を加え桜桃としたものらしい。そしてその異名に鶯桃、含桃、荊桃がある。これへかく桃の字を加えたのは、この桜は固より桃の類では無いけれどその形ちが桃に似ているからだといわれている。またこれを桜というのはその果実が瓔珞ヨウラクの珠に似ているからだとの事である。

 昔我が邦でこの桜桃をサクラだと思った事があったので、それでその略字の桜がサクラと成って今日に及んでいる。

 もしも上の桜桃が我がサクラと同種の者であったなら、その間何んの問題も起らなく桜はサクラで済し込んでいてもあえて不都合な事は無かったが、不幸にも桜桃は全く我が邦のサクラとは別種の者であったのである。

 桜桃は支那では特産の一つで主としてその果実を貴ぶ一の果樹である。ゆえに支那の書物にもこれを果樹の中へ入れている。その生本は日本へも来ていて諸処で見られるが、果実が余り沢山生らないので今日は大して世人に愛せられていなく、ただ前に来たものの残っているのを植えてある位の程度である。早春に葉に先だちてヒガンザクラ様の淡紅花が枝上に群着して開き多少は美麗である。花が了ると帯褐色の新葉が出で重鋸歯ある倒卵形の闊い緑葉と成る。実は葉間に隠見して赤熟し固より食用と成る。直径は凡そ一・五糎ばかりもあろう。

 今日市場に売っているサクランボウを一般に桜桃オウトウと呼んでいるのは最も悪るい。これは決して桜桃ではなく元来が欧洲種の果樹である。

 吾等は真正なる支那の桜桃を支那ミザクラ、欧洲産の者(Sweet Cherry と呼ばれる)を西洋ミザクラと呼んでいる。両方とも実ザクラで元来が花を賞するのが目的の樹ではない。

 サクラの語原についてはどうも吾人をして首肯せしめる程の判然したものが無いのが残念であるが、これは多分極めて旧く神代から続いた名でその時代にはその意味が判っていたのであろうが今日ではどうもその辺が曖昧に成っているのではないかと私は想像する。サクラはサキウラ(咲キ麗)の転じたものとかあるいはコノハナサクヤヒメ(木花開耶姫)のサクヤの転じたものとか言っていれど、何んとなく頭にピンと響かない。

 先日東京の山下清一君から次の様な事の示教に預った。それは神代での瓊々杵尊ににぎのみことの大和地方での御歌に、「これのハバカや、薄赤うすほに白き、万家よろずやに花咲くは、さきく咲くらむoooo寿ほきくにさくらむ、うつし花かも、なりに、」というのがあってこの歌の中の咲くらむooooさくらoooがその語原であろうとの事である。さてこの歌はサクラを眺めて咏じ給いしものではあろうがそうするとその歌の始めにあるハバカがサクラの事に成らねばならぬ理窟だ。しかしこのハバカは一名カニハザクラと云って今日いうウワミズザクラの古名と成っているのでここに喰い違いが起るがこれをどう取捌いたがよいものかチョット困りもんである。

〔補〕最も古く僧昌住の『新撰字鏡』には桜がサクラとなっている。深江輔仁の『本草和名』では桜桃がハハカ一名カニハサクラとなっているが、どうもここではウワミズザクラではなく、サクラを指したものではないかと思う。このハハカについては古人もいろいろと論じているが、しかし尚新しく研究の余地があると私は考える。

「春分 2020」も 3.20 (^-^)     青空文庫ファイルから『植物記』牧野富太郎     投稿:2021.03.20

2020年3月9日

その如月の望月の頃

陰暦二月十五日の月 03.09 藤岡東平井 陰暦二月十五日の月 03.09 藤岡東平井

ねがはくは花のしたにて春死なん そのきさらぎの望月の頃 by 西行

更科紀行「要約抜粋」 芭蕉

さらしなの里、姥捨山おばすてやまの月見んこと…
…いでや月のあるじに酒ふるまはん、といへば、さかずき持いでたり。よのつねにひとめぐりも大きに見えて、ふつゝかなる蒔絵をしたり

あの中に蒔絵まきえ書たし宿の月

かけはしや命をからむつたかづら

おもかげうばひとり泣く月の友

十六夜いざよひもまだ更科のこほり

3月9日は陰暦だと二月十五日です。矢場まで戻ってきたら庚申山のむこうに月が昇ってました。写真をあげただけ、下書きのままで四ヶ月…(^┬^;

昨夜(07/27)は「月山と芭蕉」らじる★らじる、を聴きながら寝落ちしちゃいました ( _ _ ).。o○

もろともにあはれと思へ山桜やまざくら 花よりほかに知る人もなし

目覚めたら行尊の短歌と更科紀行てな言葉が耳に残ってました。うん、桜に月、あっ、西行だ、撮ってたばい。あげとかな… (^-^)

エイザンスミレ 03/09 上州藤岡下日野 この日は名無村で花猫の目、黒石で叡山菫を撮ってます。まだ、桜花は咲いてませんでした。て、たぶん (°-°;

2020年3月3日

アンズ(杏)で…

アンズ 雨水/03.03 上州藤岡保美 アンズ 雨水/03.03 上州藤岡保美 アンズ 雨水/03.03 上州藤岡保美

梅か杏か、はたまた豊後梅ぶんごうめ… ちょっと毛色の変っているお方と逢うと名が出てこんばい。花の色と感じ、反ってる萼。で、アンズとしておきます。違うかな… (´ー`)

もう春分です。ただ鬱陶しい天気で、パチリに出る気にはならんばい。で、画像倉庫の整理整頓ば、しとります。「立春 2020」に続いて、いま「雨水 2020 」が終わりました。
2020.02.20 〜 03.03 で、790枚ほど撮ってます。「立春 2020」は 968枚でした。

21日は秩父へ行ってセツブンソウ、フクジュソウで 57枚。23日は碓氷峠の手前まで走ってオウレンだけで 48枚も撮ってます。で、戻りながら餅搗き道祖神、落合の道祖神、中室田の道祖神(キッス道祖神)と濃イイオカタたちを… (°-°;

投稿:2021.03.21 春分  

2020年3月1日

深山鶯神楽/03.01

ミヤマウグイスカグラ 雨水/03.01 上州藤岡高山 ミヤマウグイスカグラ 雨水/03.01 ミヤマウグイスカグラ 雨水/03.01 上州藤岡高山

高山の用水路脇でウグイスカグラが咲いていました。多毛で腺毛センモウも混じってました。狸ん家だと、このタイプが普通でミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽)とよんでます (^-^)

いつもなら立春ころからパチリを増やすんだけど2021年は出る気にならなくて… 3月などまだゼロです。山へ行けば油瀝青アブラチャンが… 野を歩けば葵菫アオイスミレたちがと、もう咲いてるはずです。去年の3月は毎日のように出てパチってました。がね、3月8日、9日とブログしてるだけです。画像倉庫の雑草たちをあげます。一年ねかしちゃったけどね (°-°; 投稿:2021.03.09