2022年6月5日

絶唱三首/耳コピ万葉集

万葉集 巻十九 4290-4292 巻末の絶唱三首 ( ^ - ^ )

廿三日、興にりて作る歌二首

4290 春の野に霞たなびき うら悲し この夕かげに鴬鳴くも

春野尓はるののに 霞多奈かすみたなびき 宇良悲うらがなし 許能暮影尓このゆふかげに 鴬奈久母うぐひすなくも

4291 わが宿のいささ群竹 吹く風の音のかそけきこの夕べかも

和我屋度能わがやどの 伊佐左村竹いささむらたけ 布久風能ふくかぜの 於等能可蘇氣伎おとのかそけき 許能由布敝可母このゆふへかも

 

廿五日、作る歌

4292 うらうらに照れる春日に雲雀あがり こころ悲しも 一人し思へば

宇良々々尓うらうらに 照流春日尓てれるはるひに 比婆理安我里ひばりあがり 情悲毛こころかなしも 比登里志於母倍婆ひとりしおもへば

春日遅々ちちにして、鶬鶊ひばり正にく。悽惆せいちうこころ、歌に非ずははらひ難し。よりて此の歌を作り、もちて締緒ていしよぶ。但し此の巻中、作者の名字をはず、ただ年月・所處・縁起のみを しるせるは、皆大伴宿禰家持の裁作つくれる歌詞なり。

 

 

五年正月四日、治部少輔ぢぶのせうふ石上朝臣いそのかみのあそみ宅嗣やかつぐの家にしてうたげする歌

4282 言しげみ相問はなくに 梅の花雪にしをれて うつろはむかも

辞繁ことしげみ 不相問尓あひとはなくに 梅花うめのはな 雪尓之乎礼氐ゆきにしをれて 宇都呂波牟可母うつろはむかも

 

十一日、大雪り、積ること尺二寸あり。りてつたなおもひを述ぶる歌

4285 大宮の内にも外にも珍しく降れる大雪 な踏みそね 惜し

大宮能おほみやの 内尓毛外尓母うちにもとにも 米都良之久めづらしく 布礼留大雪ふれるおほゆき 莫踏祢乎之なふみそねをし

4286 御園生の竹の林に 鴬はしば鳴きにしを 雪は降りつつ

御苑布能みそのふの 竹林尓たけのはやしに 鴬波うぐひすは 之波奈吉尓之乎しばなきにしを 雪波布利都々ゆきはふりつつ

 

十二日、内裏にさぶらひて千鳥のくを聞きて作る歌

4288 川洲にも雪は降れれし 宮の内に千鳥鳴くらし居む所無み

河渚尓母かはすにも 雪波布礼々之ゆきはふれれし 宮裏みやのうちに 智杼利鳴良之ちどりなくらし 為牟等己呂奈美ゐむところなみ

 

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