2020年8月24日

コガマ(小蒲)


古事記 上巻 大國主の神 「菟と鰐」

氣多けたさきに到りし時にあかはだなるうさぎ伏せり。ここに八十やそ神その菟にひて云はく「いましまくは、この海鹽うしほを浴み、風の吹くにあたりて、高山の尾上おのえに伏せ」といひき。かれその菟、八十神の教のまにまにして伏しつ。ここにそのしおの乾くまにまに、その身の皮ことごとくに風に吹きかえき。かれ痛みて泣き伏せれば、最後いやはてに來ましし大穴牟遲おほあなむぢの神、その菟を見て「何とかもいましが泣き伏せる」とのりたまひしに、菟答へてまをさく「… 最端に伏せるわに、我を捕へて、悉に我が衣服を剥ぎき。これに因りて泣き患へしかば、先だちて行でましし八十神の命、海鹽うしほを浴みて、風に當りて伏せとのりたまひき」とまをしき。ここに大穴牟遲の神、その菟に教へてのりたまはく「今くこの水門みなとに往きて、水もちて汝が身を洗ひて、すなはちその水門のガマはなを取りて、敷き散して、その上にまろびなば、汝が身本のはだのごと、かならずえなむ」とのりたまひき。かれ教のごとせしかば、その身本の如くになりき。こは稻羽いなば素菟しろうさぎといふものなり…

…いそいであの水門に往つて水で身体を洗つてその水門のガマの花粉を取つて、敷き散らしてその上にころがり廻ったならお前の身はもとの膚のようにきつと治るだろう…

ガマはな:蒲の穂の上にある雄花の黄色い花粉を言う。古代では止血・沈痛に利く薬として用いられたとか… (^-^)

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